与件と課題

ゼンマイ装置は、自閉式引戸などによく使われています。
扉の重さや使用者の好みでばねの強さを調整しますが、ユーザーの操作(ゼンマイの巻き過ぎ・緩め過ぎ)による故障が頻発し、メーカー各社を悩ませていました。

当時の一般的なゼンマイ装置には、巻き過ぎ・緩め過ぎを防止するストッパーやインジケーターがありませんでした。 そこでSKBひらめき機構設計チームは考えました。

ストッパーを備え、調整状態を表示できるゼンマイ装置を開発し、故障のない、使いやすい引戸を実現したい。


コンセプトと機構設計

SKBひらめき機構設計チームは、ばね調整部分にゼネバ機構(※1)を採用し、ストッパーに螺旋状の溝を彫ることで、この問題を解決しました。

主軸カムを原動ギアとし、ストッパーを従動ギアとするこの機構は、ゼンマイに直結された原動ギアの回転数を従動ギアに伝えます。
主軸カムが1回転すると、ストッパーが1歯分回転します。

さらに、カバーにあけた上下方向の長孔(インジケーター)と螺旋状の溝にストッパーピンを通し、ストッパーの回転角度を、上下運動に変えます。
ストッパーピンはゼンマイばねの強さを表示するとともに、巻き過ぎ・緩め過ぎを防ぐストッパーの役割も果たします。

SKBひらめき機構設計チームは、この機構により特許を取得し、使いやすく耐久性の高いゼンマイ装置(商品名:レプルス)は、ロングセラーとして市場に受け入れられています。

※1ゼネバ機構(ジェネバ機構):連続回転運動を断続回転に変換する機構